結論から書きます。足場の機械等設置届(いわゆる足場設置届)が必要になるかどうかは、「足場の種類」「高さ」「設置期間」の3つで決まります。
そして実務でいちばん多い誤解は、建物の高さで判断してしまうことです。判断するのは足場の高さです。
足場の設置届は、労働安全衛生法第88条にもとづく「機械等設置届」の一つです。次の条件に当てはまる場合に、届出が必要になります。
| 足場の種類 | 高さの条件 | 期間の条件 |
|---|---|---|
| つり足場 張出し足場 |
高さは問わない 低くても対象 |
組立てから解体までが 60日以上 60日未満は対象外 |
| 上記以外の足場 くさび緊結式・枠組・単管など |
高さ10m以上 |
つまり、くさび緊結式や枠組足場であれば「高さ10m以上 かつ 設置期間60日以上」の両方を満たしたときに届出が必要です。どちらか一方でも外れれば、この届出は不要になります。
一方でつり足場と張出し足場は、高さに関係なく対象です。ここを見落とすと、低い足場だからと油断して届出漏れになります。
いちばん多い間違いがこれです。判断の対象は足場そのものの高さであって、建物の高さではありません。
たとえば、9mの建物でも、屋上のパラペットや塔屋まわりを養生するために足場を立ち上げれば、足場の高さは簡単に10mを超えます。逆に、建物が高くても足場を低層部にしか架けないなら10m未満で収まることがあります。
足場の高さは、地盤面から足場の最上部までで考えます。ただし、どこを起点にするか(前面道路面か、敷地の地盤面か)は現場条件によって判断が分かれることがあります。10mぎりぎりの案件では、事前に所轄の労働基準監督署へ相談しておくのが確実です。
期間は、足場を組み始めた日から、解体が終わる日までの通算です。「足場を使っている期間」ではありません。
大規模修繕のように工期が数か月に及ぶ工事では、まず間違いなく60日を超えます。逆に、外壁の部分補修や短期の改修では60日未満に収まることがあり、その場合はこの届出の対象外になります。
| いつまでに | 工事開始の日の30日前まで |
|---|---|
| どこへ | 工事を行う場所を管轄する所轄労働基準監督署長 |
| 何で | 様式第20号(機械等設置・移転・変更届) |
この「30日前」が、実務でいちばん効いてきます。着工の30日前ということは、その時点で足場の計画が固まっていて、図面と計算書が揃っていなければなりません。図面作成の依頼が間に合わず、着工日を動かすことになった——という話は珍しくありません。
様式第20号だけでは受理されません。一般的に、次の書類を添付します。
添付書類の細かい要求は、監督署ごとに運用が異なります。同じ書類の組み合わせで一方は通り、もう一方では追加を求められる、ということが実際に起こります。初めて出す監督署の案件では、事前に窓口へ確認するのが結局いちばん早い方法です。
労基提出図一式、強度計算書、道路占用・使用図面まで対応しています。
「この現場は届出が必要か」という段階のご相談でも構いません。
参考
本記事は一般的な内容をまとめたものです。個別の現場については、所轄の労働基準監督署の判断が優先されます。